自己破産の手続きは，どのように進むのですか？

こちらをご覧ください。

自己破産のメリットを教えてください。

法的に借金がなくなることです。これによって，今度の生活を立て直す事ができます。

自己破産のデメリットを教えてください。

まず，20万円以上の高価な財産が処分されてしまいます。次に，官報に名前と住所が掲載されます。さらに，ブラックリストに載ってしまうため，しばらく借入れができなくなりますし，宅地建物取引主任者，生命保険募集人，旅行業務取扱主任者，警備員等の職種に自己破産の手続きが全て終了するまで就けなくなります。 

自己破産の申し立てをすれば，取り立てはストップしますか？

弁護士・司法書士に手続きの依頼をした当日に止まります。受任以降債権者が直接依頼者に取立てを行う行為は，法律で禁じられているからです。

自己破産の申し立てをすれば，必ず借金はなくなりますか？

免責不許可事由に該当する場合は，借金がなくならない場合もあります。例えば，ギャンブルやブランド品を買いあさるなどの浪費が理由で，借金が返済できなくなった場合です。

また，以前に破産免責を受けてから7年以内である，詐欺的な借入や換金行為がある，債権者の一部だけに返済している，裁判所に提出した書類にウソがある，などの事情も免責不許可事由になります。

もっとも，免責不許可事由があっても必ず免責されないわけではなく，裁判所の裁量で免責されるケースも多くあります。例えば，少しぐらいの無駄遣いやギャンブルをしていても多くの場合裁判所は免責してくれます。

さらに，免責不許可事由がある場合でも，裁判所は本人の誠実さを知るために破産管財人を選任して免責を許可できるかどうかを調査させます。破産管財人に誠実な人柄であることが認められると、破産管財人は「免責相当」という意見を書いてくれます。この「免責相当」という意見があればほとんどのケースで免責になります。

自己破産をすると財産を処分しなければならないのですか？

自己破産をするとあなたの財産を処分する必要があります。

もっとも，自己破産をした場合に処分が必要な財産は、不動産や自動車，株式などといった財産価値の高い財産に限られます。日常生活に必要なテレビや、冷蔵庫といった家財道具などは，引き続き自由に使うことが可能です。

自己破産をすると，賃貸マンション等から出ていかなければならないのですか？

賃料の未払いがなければ出て行く必要はありません。

自己破産をすると，生命保険は解約しなければなりませんか？

生命保険の解約返戻金が20万円以下の場合は，解約する必要はありません。
解約返戻金が20万円以上の場合には，生命保険を解約するか，解約返戻金と同額を債権者に支払って生命保険を継続することができます。

自己破産をすると，戸籍や住民票，免許証に載ってしまうのでしょうか？

戸籍，住民票，免許証のどれにも自己破産したことは載りません。

自己破産をすると，郵便物が届かなくなるのですか？

「管財事件」の場合には，破産手続中に限っては，郵便物が裁判所から選任された破産管財人に転送されます。

一方，財産がない人は，通常は「同時廃止」となりますので，郵便物が届かなくなることはありません。

自己破産をすると，引っ越しをしたり，海外旅行に行くことができなくなるのでしょうか？

「管財事件」の場合には，破産手続中に限っては，海外旅行や引越しをするには，裁判所の許可が必要になります。

一方，「同時廃止」の場合には，自由に海外旅行も引越しもできます。

自己破産をすると，選挙権がなくなるのですか？

選挙権はなくなりません。

自己破産をすると，家族に知られてしまいますか？

自己破産をしても裁判所から直接家族に連絡がいくことはありません。

しかし，自己破産申立ての際には，同居の家族も含めて家計の状況を記した書面の提出が必要になります。

なので，できれば家族にもきちんと事情を話し，家族の理解のもと，自己破産をするべきかと思われます。

自己破産をすると，家族に影響が及びますか？

ありません。法律上は，夫，妻，子どもなどの家族は別人格ですので，本人の債務を保証していない限り，借金を他の家族が返済する必要はないからです。

親族からの借金だけは返したいと思っているのですが，自己破産の対象から外して手続きを進めることはできるのでしょうか？

親戚や友人だからといって，破産手続で特別扱いされませんので，破産を申し立てれば，親戚や友人に対する債務も含めて，借金はなくなります。

もっとも，破産手続が終了した後に，できる範囲で事実上返済していくことは構いません。

自己破産をすると，勤務先に知られてしまうのですか？

自己破産をすると官報という国が発行する新聞のようなものに掲載されるので，それを偶然会社が発見するということは否定できません。

ですが，直接通知がいくわけではないので，発見される可能性は低いといえます。

また，破産手続中に，裁判所や弁護士・司法書士から勤務先に連絡が行くことはありませんが，勤務先が債権者である場合は通知が行きます。

滞納を放っておくと，勤務先に督促の電話がかかってしまい，勤務先に借金がばれてしまう可能性がありますので，弁護士・司法書士に相談した方がいいと思われます。 

自己破産したことが勤務先に知られると，解雇される可能性はあるのでしょうか？

会社は従業員が自己破産をしたことを理由に解雇することはできません。

ただし，バレることで事実上不利な立場になることはありえます。

自己破産をすると，退職金はどうなるのでしょうか？

退職した場合の退職金の予定額の８分の１が20万円以下であれば，自己破産しても退職金に影響はありません。

一方，20万円を超える場合には，退職金の８分の１を債権者に支払う必要があります。

自己破産をすることで，就けなくなる職業はあるのでしょうか？

弁護士・司法書士・税理士・行政書士などのいわゆる士業や，警備員，宅地建物取引主任者，保険の代理店（外交員），風俗営業者などの職業は，破産をすると就けなくなります。

もっとも，免責が確定すればこれらの欠格事由は回復します。

なお，「同時廃止」の場合には、破産開始決定から免責決定の確定までは4～5ヶ月ほどですので，支障がない場合も多いようです。

自己破産をすることで，保証人に影響はあるのでしょうか？

本人が自己破産した場合，保証人に請求がいってしまいます。保証人は，本人が支払えなくなった場合には本人に代わって借金を支払わなければなりません。